『ヒロシマを幼児の体験として育ったたべ・けんぞうは、数十年前、日本橋のときわ画廊の天井を原子雲で尽き破って以来、人間を究極まで解体させる核をテーマに作品を作り続けた。ある美しい朝、そいつは突然襲いかかってくる。人間を支える意識の上では、すでに恐るべき解体がはじまっている筈だが、それでもその朝を迎える前に、わたしはこの作品をすべての核保有国と人間を考えようとするひとびとに提示したいと切望しているのだ。』これは詩人・美術評論家の故ヨシダ・ヨシエ氏が“オレンジ・オペレーション”を紹介した一文です。この大掛かりな作品は1982年・1985年に東京で発表の後、1995年には広島市現代美術館で開かれた被爆50周年記念展にも展示されて大きな話題を集めました。その後、2010年に千葉県外房にある“おんじゅくフロンティア・マーケット牛舎8号”のアート・スペースに常設展示として蘇り、同敷地内のブースには近年制作された鉄屑・廃品を素材とするオブジェも多数展示されていましたが、2019年12月をもって同施設閉鎖のためこれらの展示は終了いたしました。